思い出すままに④

懐柔店主

2019年03月01日 21:46



「とうとうこの日が来てしまいましたね」

名前を知らないころ、「うたかたさん」と店主が勝手にあだ名していた女性客が言った。
懐柔には多くない一人で来る女性のお客さんだ。しかも、若い。
若いけれど、店主はなんとなく話しやすく、自分のこともかなり晒した。

「とうとうこの日が来てしまいましたね」

そういうと、ルビーレッドのマフラーをくださった。目に涙をためていた。
おかげでこの冬は暖かい。

もうまちがいなく枯れ木のようになってしまった店主だが、「ライムライト」に憧れることだってあるんだ。

関連記事